波動③’ 屈折と反射 追記 合成レンズ

一般的に二枚のレンズの合成を考えることもできます。
焦点距離$f_1$のレンズ$L_1$と$f_2$のレンズ $L_2$ を距離$d$だけ離した場合、二つのレンズを一つのレンズのように扱え、焦点距離$f$は
$$ \frac{1}{f} = \frac{1}{f_1} + \frac{1}{f_2} \;- \frac{d}{f_1f_2} $$
となります。

この場合レンズの系の大きさが無視できないため、光の折れ曲がったとみなせる線(主点)は二つあります。

一つ目の主点$C_1$で折れ曲がる場合、ある一点から出た光が平行になって出ていきます。
レンズ$L_1$から主点$C_1$との距離 $δ_1$は以下のようになります。
$$ δ_1 = \frac{f}{f_2} d $$



二つ目の主点$C_2$で折れ曲がる場合、左から平行に光が入ってきたときで、ある一点で光が集まります。
レンズ$L_2$から主点$C_2$との距離 $δ_2$は以下のようになります。
$$ δ_2 = \frac{f}{f_1} d $$




そこから図のように$a,b$を設定すると、以下のレンズの公式が成り立ちます。
$$\frac{1}{a}\, + \, \frac{1}{b} = \frac{1}{f} $$

また、$y=y_a$にある物体が、$y=y_b$に像ができる場合、位置関係は以下のようになる。
$$\frac{ y_a }{a}\, + \, \frac{y_b}{b} = 0$$


統合して、以下の式で表すことができます。
$$ \vec{b_2} = \frac{f}{f+x_{a_1}} \vec{a_1} $$






良問の風 84 解説のように、 焦点10[cm]の凸レンズと焦点10[cm]の凹レンズを30cm離して置いた例を考えてみます。

一つ目のレンズは焦点10[cm]の凸レンズとすれば、$f_1=10$
二う目のレンズは焦点10[cm]の凹レンズなので、$f_2=-10$
よって合成レンズの焦点$f$は
\begin{align}
\frac{1}{f} &= \frac{1}{f_1} + \frac{1}{f_2} – \frac{d}{f_1f_2}\\
&= \frac{1}{10} + \frac{1}{-10} – \frac{30}{-10×10}\\
&= -\frac{3}{10}\\
\end{align}
よって
$$f= \frac{10}{3} $$
このことから、主点$C_1$との距離$δ_1$(右方向を正)と、主点$C_2$との距離 $δ_2$(左方向を正)とすると
$$δ_1= \frac{f}{f_2} d = \frac{10/3}{-10}×30 =-10$$
$$δ_2= \frac{f}{f_1} d = \frac{10/3}{10}×30 =10$$
となります。

そのことから物体の位置は
$$ \vec{a_1} = \begin{bmatrix} -5 – δ_1 \\8  \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 5 \\8  \end{bmatrix} $$
となり、レンズの式から
$$ \vec{b_2} = \frac{f}{f+x_{a_1}} \vec{a_1} = \frac{ \frac{10}{3}}{ \frac{10}{3} + 5} \begin{bmatrix} 5 \\8  \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 2 \\ \frac{16}{5}  \end{bmatrix} $$
$L_2$から見ると$2 – δ_2 = -8$の位置にあることから、 $L_2$の前方(左)$8$[cm]の位置に$\frac{16}{5}$の大きさで正立しているのが見えます。

これよりも更により詳しく知りたい方は光線行列解析で調べてみてください。