交流では電圧が高くなり、電流が小さいほどエネルギーの損失が少ないため、長距離の送電では高電圧を使用しています。
実際に、
$$P=RI^2$$
の式からもわかる通り、電流が少ないほど抵抗での消費電力が少なくなります。
しかし、よく考えてみると、消費電力を電圧によって表すと
$$P=\frac{V^2}{R}$$
となるため、電圧が高いと結局消費電力が上がるのではないかという質問をもらいました。
そのため、簡単な図解で説明していこうと思います。
そもそも日常の中で使われている電流は交流であり、発電所から変電所へもしくは変電所から家庭へ電流を送る場合、図のような二本の導線で送ります。
この二本導線に電圧を与えることによって電流を流しています。(そのため、家庭用コンセントも通常は二端子のプラグですね)
この場合エネルギーの損失となるのは送電中の抵抗部分になります。
そのため、抵抗値を$R$とすれば、エネルギーの損失は
$$P=RI^2$$
となります。
しかし、以下の式は成り立ちません。
$$P=\frac{V^2}{R}$$
なぜなら、本来の式の意味は「抵抗での電圧降下を$V$としている」からです。
二本の導線の電圧差は、変電所なら主に自己インダクタンス、家庭なら家電にかける電圧であるため、抵抗による電圧降下は全体の一部でしかありません。
そのため、下の式が正しいエネルギー損失の式になります。
$$P=\frac{V_R^2}{R}$$